野々島(宮城県塩竈市)見どころ〜自然、歴史、謎が調和する神秘の島〜

 

先日,宮城県塩釜市の野々島(ののしま)へ行ってきました。

野々島は松島湾の入口に位置し,日本三景・松島の一部を構成する「ミステリアス・アイランド」です。

【目次】

【野々島 行き方】

仙台駅から本塩釜駅まで仙石線28分。

本塩釜駅からマリンゲート塩釜まで徒歩8分。

塩釜市営汽船に乗り,野々島まで30分。

仙台から計1時間半足らず,お手軽に行けるのがうれしいところです。

【野々島 島の概要】

1万年前は海面が100mほど低く七ヶ浜半島から地続きでしたが,氷河時代の終わりとともに海面が上昇し,現在の島々に分離。

人工140人,面積0.56k㎡(ディズニーランドより少し広いくらい)。

浦戸諸島の中で唯一、小中学校,診療所,漁業組合支所があり,行政・生活の中心となっています。

【野々島 見どころ①熊野神社

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1650年頃に現在の場所に移り,大巳貴命(オオナムチ)という日本神話の神が祀られています。

しかし,神像の奥には厨子に入った「キリシタン仏」が安置されています。

神道?仏教?キリスト教

いったい,どのような時代背景があったのでしょうか?

 

当時,伊達政宗は,支倉常長を海外へ派遣する等キリスト教文化の吸収に熱心であり,自らは洗礼を受けなかったものの,妻の愛姫も一時期キリシタンだったほど。

伊達藩内のキリスト教徒は相当数に上ったと推察されますが,1612年に江戸幕府からキリスト教禁止令が発令。

伊達藩でも厳しい取締まりが実施され,多くの信徒が棄教を拒否して処刑され,隠れキリシタンは藩内各地に潜伏したと考えられます。

 

野々島は,島民全員が隠れキリシタンだったのではないでしょうか?

神社という存在は,地域の精神的支柱。

そのような目立つ場所に,「キリシタン仏」というカモフラージュした形で聖像を安置し,信仰の火を絶やさなかったと考えると,その大胆さ,巧みさ,信仰心の篤さには敬服の念を覚えます。

ちなみに,当時は神仏習合だったので,神社に仏像が祀られるのは普通だったようです。

【野々島 見どころ②ボラ】

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島のいたる所に「ボラ」と呼ばれる洞穴群があります。

誰が,いつ,何のために作ったのか?

諸説ありますが,密貿易で稼いだ巨万の富をボラに隠した「内海長者伝説」が興味深い。

 

ボラは700年前には存在したと推察され,当時は鎌倉時代

それより少し前の時代だと,奥州藤原氏の領地。

話は飛躍しますが,北方謙三氏の小説「岳飛伝」に,奥州藤原氏は中国(南宋)と交易していた話が登場します。

その陰で,あるいは便乗して,密貿易した人物の財宝が隠されていたのか?など想像が膨らみます。

 

まあ,お宝というものは,山中とか地中とか見つけにくい場所に隠すもの。

ボラのようなあけっぴろげな場所に隠すとは,ふつう考えにくい(笑)

とすると,「出し入れが容易」「雨風が避けられる」という目的で,「交易品の仮置き場」に利用したのではないか?

では,どのような交易品を置いたのか?などの妄想を膨らませるのも楽しいですね。

【野々島 見どころ③夜泣き地蔵】

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子どもの夜泣きがなおると言い伝えられる夜泣き地蔵,そしてそれと並ぶ六地蔵

有縁,無縁仏が北面して祀られており,虫の音が響く墓地特有の静かな雰囲気は「ありし日の日本の面影」を思わせます。

【野々島 見どころ④海辺】

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島には宇内浜(うねはま)はじめ,砂浜がいくつかあります。

太平洋に面する南側の浜は,風や波が少々荒い印象ですが,内陸側の浜はとても穏やか。

遠浅で静かな海はカヌーやシーカヤックに最適で,私が訪れた時も小学生が集団でカヌー漕ぎをしていました。

 

これらの舟を使えば,陸伝いでは行けない無人島にも行けるので,ひょっとしたら前述の内海長者の財宝が見つかるかも!?

【野々島 まとめ】

野々島の人はとてもフレンドリー。

道を行き交う人々は,大人も子どもも気軽に挨拶してくれます。

寡黙で恥ずかしがり屋の人が多い東北では,ちょっと珍しいです。

20人ほどの子どもたちと出会った時は,1人1人が歩きながら時間差で挨拶してくるので返すのが大変でした(笑)

 

春は椿や菜の花,夏はラベンダーが咲き誇り,アオスジアゲハが飛び交います。

潮風に耳を澄まし,自然と触れ合うゆるりとした時間を過ごしながら,島の歴史やミステリーに思いを馳せてはいかがでしょうか?

 

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