「達人伝」感想(第179話・天地の絶対者)

「達人伝」感想(第179話・天地の絶対者)

蒼天航路」の王欣太(キングゴンタ)先生が連載している「達人伝」のあらすじと感想を紹介します。

今回は,「第179話・天地の絶対者」です! 

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<連合軍司令官・龐煖〜漫画アクション2021/6/15発売号「達人伝」より〜>

【目次】

達人伝〜流氓の宣言〜  

前回は,全軍撤収を開始した秦軍総帥・蒙驁(もうごう)に,劉邦が一撃を食らわしたシーンで終わりました。

おさらいしたい方はどうぞ。

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蒙驁を追撃しながら,劉邦は言います。

 

「白馬のじいさんよ!」「あんたは強え!秦って国もえらく強え!」「だけどな 俺たちが力に平伏(ひれふ)すことはねえ 絶対にねえ!」

 

これに,盗跖(とうせき)一家も共感。

秦の思い通りにはさせない,ぶっ殺されようと何度でも生き返ってやると気炎を上げます。

 

「紳士と流氓(りゅうぼう)」は,達人伝をつらぬくテーマ。

ざっくりいうと,紳士とは公権力を持ち,歴史に名を残す人間。流氓とは,公権力を持たず,歴史に名を残さない人間。

 

流氓を,もう少し詳しく調べてみましょう。

 

流氓と流亡はニュアンスが異なるかもしれませんが,コトバンクによると,「流亡」は定住することなく,さまよいさすらうこと。

白水社の中国語辞典によると,「流氓」は騒ぎを起こし,けんかを吹きかけたり女性にいたずらをしたりするならず者,与太者,愚連隊,ごろつき,ちんぴら,やくざ者。

 

どうも,盗跖や劉邦のイメージは,「流氓」の方がしっくりきますね(笑)

では,現代でいえば,「流氓」はどんな人たちでしょう?

 

古代中国と現代社会では事情が相当異なりますが,「権力を持たず,権力に屈さず,理不尽な権力に反旗を翻す人々」ではないでしょうか?

 

たとえば,地球温暖化対策に対する不満の声を上げたグレタ・トゥーンベリさん,香港でストライキやデモを起こして逮捕された周庭さん,政権批判を発信し続ける作家の平野啓一郎さんは,現代の「流氓」と思います。

 

絶対に屈服しない。

権力の思い通りにはさせない。

権力の側からすると,これほどやっかいな存在はないでしょう。

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<秦軍を追撃する劉邦漫画アクション2021/6/15発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜紳士の言い分〜

もう少し脱線させてもらい,あえて紳士側(権力側)の言い分を考えてみます。

 

人々が安定した社会で,安心して暮らしていくためには,一定の秩序やルールが必要。

原始時代や戦国時代のように,無秩序で弱肉強食の社会では,人々は幸せに生きられない。

したがって,秩序を乱す者,ルールに従わない者はしっかり取り締まる必要がある。

権力側は,べつに意地悪をしたくて,統制や抑圧するのではない。

 

こう聞くと,紳士側にも一定の理があるように思えます。

 

おそらく,腹の底から真っ黒で,私利私欲のエゴを満たすため行動している権力者は,ごくごく少数。公権力を行使する多くの人々は,組織の命令に従っているだけ。

 

しかし,ここに,公権力のワナがあります。

 

アドルフ・アイヒマン

数百万人のユダヤ人をアウシュビッツ強制収容所へ送り込む指揮的役割を担い,戦後,アルゼンチンに逃亡していたものの1960年にイスラエルに連行され,裁判の末,絞首刑になった人物です。

 

裁判で衝撃を与えたのは,大虐殺を指揮した「ふてぶてしい大悪人」を予想していた人々の予想を裏切り「小役人的な凡人」という印象を与えたこと,そしてユダヤ人虐殺は「大変遺憾に思う」と述べたものの,アイヒマン自身は「命令に従っただけ」と無罪を主張し続けたことです。

 

数百万人を死に追いやっておいて無罪を主張するとは何事か!人間としての良心はないのか!と慄然とする話ですが,仕事の命令の違いはあれども,公権力に従事する人々の事情は,大なり小なり同じようなもの。

 

アイヒマンと同列にしてはあまりに可哀想ですが,秦軍総帥・蒙驁も,中華統一を目指す苛烈な秦王・嬴政の命に従う者。

 

公権力に従事する者は,自身の良心に反する行為をしていないか,組織の維持が目的となっていないか,絶えず自身に問う必要があるでしょう。

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<動揺する秦軍総帥・蒙驁〜漫画アクション2021/6/15発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜冷静沈着な劉邦   

さて,達人伝に戻ります。

 

「それでこそ盗跖一家」と蒙驁に斬りかかろうとする盗跖を,「止まれ姐さん 矢だ!」と止める劉邦

なんと,蒙武が派遣した閃影騎射隊なるものが,殿軍の蒙驁軍に張りついていました。

 

騎射隊?

すっかり忘れていましたが,そういえばありました!

 

コミック25巻・第146話「戦場の邦」で,子ども時代の劉邦が初めて戦場を見学した際,秦軍を追撃しようとした劉邦を,「射抜かれてえか?邦ちゃん」「秦は常に前衛に騎射の名手を揃えてやがんだ」と庖丁がたしなめたのでした。

 

邦ちゃん時代のことなので,もう10年くらい前の出来事ではないかと思いますが,だから「なあ庖丁」と言った劉邦に,「よく覚えてたな」と庖丁が答えたんですね。

 

軍全体の勢いをあおりながらも,冷静沈着な劉邦。しかも,「じっくり追っかけ 隙を盗んでやろうぜ」と,どっしりゆったりとした構えがいいですね。

達人伝〜秦都攻撃〜 

秦の魏国侵攻を阻止。ここからは,秦の国力をどこまで削ぎ得るかの戦い。

 

総司令官の趙将・龐煖(ほうけん)は,「必ずや 戦知らずの秦都咸陽を攻めてやる」と趙将・李牧と楚将・項燕に伝えます。

 

首都攻撃。これは効きます。

 

たとえ陥落させることができなくても,戦争が最終局面に入った象徴であり,民心が激しく動揺。

第二次世界大戦でも,多くの日本人は戦況が芳しくないことを薄々感じつつ,東京大空襲を受けて「完全に制空権を失っている。こりゃ,もうダメだ」と悟ったといいます。

 

はて,史実では,連合軍は秦都咸陽を攻撃するんでしたっけ?

前回の信陵君による函谷関侵攻が,最大・最高の戦果ではないんでしたっけ?

 

乗りに乗っている龐煖,その両腕として縦横の活躍を見せる李牧と項燕。

次なる展開が楽しみです。

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<展開を加速させる連合軍〜漫画アクション2021/6/15発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜撤収命令

秦軍を追撃する廉頗(れんぱ)と,それを追う秦軍の王翦(おうせん)と桓齮(かんき)。

 

王翦たちは,何度も廉頗に攻撃しては反撃をくらっている様子ですが,「いや わずかずつだが剣が鈍くなっている」「繰り返し行くぞ 桓齮!」と再度仕掛けます。

 

しかし,今回も後ろに目があるように,すかさず振り返って攻撃してくる廉頗。

廉頗は「にい」と,うれしそうに戦います。 戦好きの怪物じいちゃん(笑)

 

剣を弾き飛ばされた桓齮が廉頗の馬にしがみつき,「でかした桓齮!」と斬りかかる王翦

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<廉頗を攻撃する王翦と桓齮〜漫画アクション2021/6/15発売号「達人伝」より〜>

 

が,王翦の馬は,駆けつけた李牧の矢に射抜かれ,桓齮も馬に蹴飛ばされます。

 

二の矢を放とうとする李牧に秦将・黄壁が横から襲いかかり,李牧はすかさず標的を変更。

李牧は黄壁の斬撃を弾きつつ,首を射て負傷させます。

 

おお,至近距離の弓矢と剣の対決,しかも正面衝突でない直角攻防は新鮮!

顔色ひとつ変えず李牧に斬りかかる黄壁,冷静なだけでなく果断!

この交錯の瞬間の切り取り方,アングルはヤバいですね!

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<秦将・黄壁vs趙将・李牧〜漫画アクション2021/6/15発売号「達人伝」より〜>

 

弓矢から剣へ切り替える李牧。

こまかいことですが,腰のあたりに弓矢を挟んでおく道具があったのかもしれませんね。

 

あれ,李牧が剣を左手に持っていますが,左利きでしたっけ?

弓矢は右手で引き絞っていました。

李牧から見て右側にいる黄壁と戦うためには,左手の方が戦いやすい?

 

と,そこへ廉頗が割り込み,黄壁はその斬撃を両手で阻止。

廉頗の一撃は,いかにも重そう。

後ろから追ってくる王翦たちへの守りの攻撃とは,質が違いそうです。

 

しかし,廉頗vs王翦・桓齮,李牧vs黄壁,黄壁vs廉頗と,豪華な戦闘シーンの連続。

 

「総帥より撤収命令だーっ」と王翦に呼びかける黄壁。

王翦は「なんだと!?」と信じがたい様子。

 

たしかに,この北東戦線では,丹の三侠や孟梁さんに前線を突破されたものの,秦軍は壊滅的なダメージを負ったわけではない。

王翦たちは,殿軍を張る廉頗を追尾していたので,どこかで秦軍と挟撃できるチャンスもあったはず。

 

さあ,王翦どうする?

常に冷静な判断を下す王翦さんですから,おとなしく撤収命令に従うと思われますが……

達人伝〜始皇帝誕生 

場面は変わり,洛陽。

 

「蒙驁が軍を統括するようになってから秦は弱い」「仲父(呂不韋)の失政だ!」と秦王・嬴政(えいせい)は言います。 

 

「余のもとになぜ白起がおらぬ!?」

ああ,それいっちゃいますか,嬴政さん。

 

蒙驁さんは,怒涛の勢いの連合軍相手によく戦っている堅実な秀才ですが,白起は異常な天才。

その生涯で70余りの城を落とし,100万人の将兵を殺した人物であり,ひとりの将の名前を冠する戦いで白起を超える人間は,古今東西いません。

 

神がかり,いや悪魔的な強さを誇った白起。

 

しかし秦王は,白起がいないことを嘆くだけでなく,異邦人からなる直属軍を組織。

さらに,自身が葬られる予定の墓陵を建設。東方六国を滅ぼした後,南方へ領土を拡張。そして,大型船による西方との海洋交易を企図。

 

「その先を考えれば,いくつもの命が要る」と,生きている間にこれらを達成するつもり満々の秦王。

 

「ところで 天下を一統にした時 余を何と称する?」

 

王より貴く,帝より貴く,皇より貴い者。

いわゆる「三皇五帝」といわれる,古代中国の神話伝説時代の8人の帝王を凌ぐ存在。

かつて存在したことのない,誰も聞いたことのない尊号。

 

天地の絶対者,皇帝!

この世に初めて生まれる唯一無二の存在,始皇帝! 

天から光が差し込み,天地の絶対者誕生を表すこの絵,ヤバいっすね〜

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<天地の絶対者を宣言する秦王・嬴政〜漫画アクション2021/6/15発売号「達人伝」より〜>

 

本や歴史の教科書で知り「皇帝」「始皇帝」と簡単に呼んできましたが,こう解説してもらうと,いかに始皇帝が凄い存在であるか,驚かされます。

 

歴史に,いかに自分の爪痕を残すか?

後世に,いかに自分を評価させるか?

 

秦王・嬴政は,おそらく人生の短かさを知りつつ,その枠を超えた未来へ想いを巡らせていたのでしょう。

 

史上初めて中華を統一した偉業もさることながら,「始皇帝」と称したブランディング・ネーミングセンスが圧倒的。

まさに破格。

その後,中華史上に現れる数多の皇帝の追随を許さない。

 

始皇帝は,中央集権体制を構築し,「皇帝」の名を創造した意味で,「中華の源流」といえるでしょう。

 

しかし,黒い血潮に染められたような太陽を背に,巨人のごとく街を踏みしだいて屹立するこの絵,始皇帝の凄味を表し過ぎていてヤバいですね〜

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<始皇帝誕生〜漫画アクション2021/6/15発売号「達人伝」より〜>

 

「我を語り継げ,永遠にー!!」

 

さあ,そんな最強・始皇帝に,連合軍はどこまで肉迫できるのか?

次回,180話「榮陽の陣」に乞うご期待です!

 

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達人伝の魅力をこまかく,マニアックに語り始めるとキリがありません!

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「達人伝」感想(第178話・総攻撃開始!)

「達人伝」感想(第178話・総攻撃開始!)

蒼天航路」の王欣太(キングゴンタ)先生が連載している「達人伝」のあらすじと感想を紹介します。今回は,「第178話・総攻撃開始!」です! 

【目次】

達人伝〜蒙驁の撤退命令〜  

扉絵は,秘剣・絶界を発動させる荘丹と,剣を天に放り投げてしまう秦将・蒙武。

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<蒙武と荘丹〜漫画アクション2021/6/1発売号「達人伝」より〜>

 

そう,前回は,天下の大将軍・孟梁さんが秦軍へ突撃。

 

まんまと秦軍の待ち伏せ攻撃をくらって危うし!と思いきや,荘丹たち丹の三侠が「木鶏」を発動。活路を開く展開で終わったのでした。

おさらいしたい方は,どうぞ!

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こちらの見開き絵,荘丹を中心とする丹の三侠の超現実的な雰囲気に,おちゃめな表情の孟梁さんがアクセントとして効いて,いいですね!

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<丹の三侠と孟梁〜漫画アクション2021/6/1発売号「達人伝」より〜>

 

秘剣・絶界の発する圧倒的な「気」によって,道を開く秦軍。

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<秦軍に突撃する荘丹〜漫画アクション2021/6/1発売号「達人伝」より〜>

 

しかし,ここでぶわっと汗が吹き出し,息が上がる。

荘丹とて人の子。

秘技を無限に発揮し続けられるわけではありません。

 

「ば 馬骨?…」と,気づかう孟梁さん,やさしさがにじみ出ています。

 

しかし,この荘丹の攻撃がとどめの一撃となり,秦軍総帥・蒙驁は撤収を決意。

麃公将軍を失い,左右の陣が崩され,本営にまで攻め入られた。

 

だが,まだ緒戦!

この見切り,蒙驁の判断の速さはさすがですね。

 

 

回収できなくなった資金や労力を意味する「サンクコスト」という言葉があります。

 

それまで投入した時間や労力を過大評価し,サンクコストにならないよう,元を取ろうと判断が遅れがち。

 

その判断の遅さこそ,傷口を広げ,将来の損失を拡大させます。

有名なのが,フランスのコンコルド

 

1962年,世界初の超音速旅客機として4,000億円をかけて開発が進められましたが,途中で採算が取れないことが判明。

 

しかし,それまでの投資を惜しんで開発を進めた結果,数兆円という莫大な赤字を抱えて終了したプロジェクトです。

 

状況が良いときは,誰がリーダーを務めようと,うまくいく。

状況が悪いとき,微妙な状況のときこそ,リーダーの判断力が問われます。

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<撤収を指示する秦軍総帥・蒙驁〜漫画アクション2021/6/1発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜盗賊軍団の本領〜   

劉邦くん,なんと,秦軍の馬をパクって馬車馬に仕立てていました!

秦軍の馬は,速さも強さも段違い。

 

盗跖の部下・魁(かい)も,敵将・麃公さんの馬をちゃっかりパクっています。

あれ,盗跖の部下3人は劉邦の馬車に同乗していますが,前回,蒙驁さんにやられて馬も失ったんでしたっけ?

 

ともあれ,盗賊軍団の本領発揮。

現代でいえば,オーシャンズ11のような快盗グループが,警察の高級車両を盗んでやろうという話ですね。

 

私はあまり車に興味がないのですが,父が車道楽でした。

 

計30台くらい乗ったはずで,ほとんどが自営業で使う国産車でしたが,子供心に「スカイラインはカッコいいな」「クラウンはフカフカして静かでいいな」と感じた記憶があります。

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<馬泥棒を奨励する劉邦漫画アクション2021/6/1発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜蒙武の判断〜 

趙将・李牧,楚将・項燕,そして天下の大将軍・孟梁さんが総攻撃を開始。

 

「敵の勢いは漸減している!」「引くな!陣を上げい!」

うーむ,蒙武は,戦の全体の流れを少々見誤っていますね。

 

たしかに,荘丹の秘剣・絶界の勢いは止まりましたが,連合軍全体の勢いは加速しており,秦軍総帥・蒙驁はすでに撤退を指示。

 

作家の佐藤優さんが,「意欲も能力もあるのは最上,意欲も能力もないのは最低,これは誰も異論がないでしょう。では,意欲があって能力がない人と,意欲はないけど能力がある人,どちらが組織にとって良いかといえば,後者の方が良い。なぜなら,前者は組織に害をなす可能性が高いから」という主旨のことを書かれています。

 

個人的には,意欲があれば能力が伸びる人材もいるのではないか,と思います。

 

ただ,佐藤優さんが所属していた外務省の渉外活動という国家間のパワーバランスに大きな影響を与えるシビアな世界では,「やっていい失敗」はともかく,能力の欠如によって恒常的に生じうる「やってはいけない失敗」を犯した場合のリスクが高すぎるのでしょう。

 

蒙武さん,まさに「意欲があって能力がない」。

一軍を預かる将なのに,まずいパターンですやん!

 

しかも,荘丹の秘剣・絶界によって,右腕が痺れて使いものにならない様子。

 

そして,蒙武に取り入り,守ろうとする部下の腕でぶっ飛ばされて鼻血を出し,庖丁に斬りつけられて浅手を1つ,2つ負いながらも,父・蒙驁が駆けつけて危機を脱します。

 

ああ,蒙武さんは,庖丁との間に飛び込んできたお父ちゃんの馬にもぶっ飛ばされて,せっかくの男前が台無し。

 

凡将から名将へ飛躍するのではと,ひそかに蒙武には期待していたのですが,この描かれ方を見ると,どうやらその目はなさそうです(笑)

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<蒙武を救出する父・蒙驁〜漫画アクション2021/6/1発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜全軍撤収

蒙驁が声高らかに,全軍撤収を指示。

「魏国の攻略を中断する!」と,青筋を立てて怒っています。

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<撤収を指示する秦軍総帥・蒙驁〜漫画アクション2021/6/1発売号「達人伝」より〜>

 

軍において,上司の命令は絶対。

軍律違反は軍全体を危険に晒す可能性があり,絶対に守られなければならない。

 

最近,個人の時代,自由の時代といわれますが,たしかにガチガチの命令で縛りつけ,個人を抑圧する組織はよくありません。

 

一方で,個人が好き勝手バラバラに動いたら,大きな成果を生むことはおそらく難しい。

組織には,その全体を貫く思想や一定のルールが必要で,たとえば,人体の細胞ひとつひとつがなんの制約もなく自由気ままに動いたら,組織として生命体として機能しない。

 

ある意味で,軍隊や警察は「組織の究極形態」。

 

その合理性や効率性はもっと評価されたり,仕組みを部分的に取り入れられて然るべきではないかと思います(個人的にあまり関わりたくはありませんが)。

達人伝〜劉邦の攻撃 

それにしても,軍全体を指揮しつつ,個の武を発揮しまくる蒙驁さんのプレーイングマネージャーとしての活躍は,目を見張るものがあります。

一方,それほど出来の良くない子を心配する,子煩悩なふつうの一面もある。

 

無事撤収を図ろうとするそんな蒙驁の前に,ドッカーンと劉邦が登場! 

馬車の上から,ヌンチャクのような距離の長い武器をドガッと叩きつける。

蒙驁さん,「げはッ」と痛そうです。

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<蒙驁を攻撃する劉邦漫画アクション2021/6/1発売号「達人伝」より〜>

 

劉邦は木の柵をぶち壊して登場したようで,これは秦軍の防御柵でしょうか。

意表を突いて現れ,高所から攻撃し,相手の間合いに入らない。

 

これは,劉邦一流の「喧嘩殺法」かもしれません。

しかし,殺気はなく,いたずら好きのやんちゃな表情ですね。

 

さあ,蒙驁は無事撤収することができるのか?

連合軍は追撃し,秦軍全体に痛撃を与えることができるのか?

 

次回,第179話「天地の絶対者」に乞うご期待です!

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「達人伝」感想(第177話・本能の促す先)

「達人伝」感想(第177話・本能の促す先)

蒼天航路」の王欣太(キングゴンタ)先生が連載している「達人伝」のあらすじと感想を紹介します。今回は,「第177話・本能の促す先」です! 

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<漫画アクション2021/5/18発売号「達人伝」より>

【目次】

達人伝〜木鶏〜 

北東の戦場。

 

待ち伏せからの逆落としをかけてくる秦軍に対し、攻め上がる孟梁と丹の三侠。

一騎当千 天下無双たるこの孟梁の武の妨げでしかないわーっ」という孟梁さんを気にかけず、荘丹は「木鶏だ」。

 

木鶏(もっけい)の登場は、久しぶりですね。

 

木鶏とは、まるで木彫りの鶏のように動じず、相手を圧倒する最強の闘鶏のこと。

以前、荘丹は木鶏を試みてうまくいきませんでしたが、「できるはずだ 今の俺たちならば」。

 

木鶏のごとく、秦軍へ突撃する見開き絵、じつにいいですね!

「穏やかに敵陣を切り拓く」のキャッチコピーもいい。

 

気負いも殺気もなく、恬淡かつ豪胆に進むイメージがありありと伝わってきます。

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<木鶏の如く攻める孟梁・丹の三侠軍〜漫画アクション2021/5/18発売号「達人伝」より〜>

 

ふと思い出したのが、2020年に引退した中国のバドミントン選手・林丹。

オリンピックの金メダル2回、世界選手権を5回制覇したレジェンドです。

 

かつては、ジャンピングスマッシュはじめ豪快そのもののプレースタイルでしたが、ベテランになるにつれ、淡々として気負いなく、しかし、いつ仕掛けてくるかわからない茫洋さを感じさせるプレースタイルへ変貌しました。

 

対戦選手が、その底が知れないな静かなオーラに圧倒されたと語ることも、しばしばでした。

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しかし孟梁さん、「見よーーっ わが武名の威を!」「馬骨が足を引っ張ろうと 疾風迅雷 敵陣突破だーー!」と調子に乗る勘違いの激しさ、ノリのよさは素晴らしすぎですね(笑)

達人伝〜項燕vs麃公  

南西の戦場。

楚将・項燕vs秦将・麃公。

 

二人の対決は一見互角に見えますが、麃公の方が上手のようです。

項燕の剣を読んでその動きを封じながら、戦略を意識して陣を押し込んでいく。

 

麃公も決して余裕なわけではなく、項燕の化け物じみた膂力を警戒しながら、「戦略に戻れ!陣に用兵!前を行く端和と合流だ!」と頭をフル回転させています。

 

繊細と大胆、戦闘と戦略を自在に行き来する麃公の才覚は、天性のものでしょうか?

それとも、年の功によるものでしょうか?

戦歴を重ねれば、項燕も麃公のようになれるのでしょうか?

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<楚将・項燕vs秦将・麃公漫画アクション2021/5/18発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜本能の促す先〜 

麃公はその敏感な嗅覚で、連合軍本隊の動きを察知。

 

「戦略変更!より良き道は 常に本能の促す先にある!」と連合軍本隊に横から突っ込もうとしたところ、秦軍総帥・蒙驁が最前線にいることが発覚。

 

しかも、蒙驁は後ろから斬りつけられている。

 

「え!?」と驚く麃公に、返す刀で斬りかかってくる盗扇。

麃公ほどの手練れであれば、なんなくかわせるはずですが、「ドックン」と体が固まり、首筋にまともに斬撃を受けてしまいます。

 

え、えっ、え〜っ!?

いや、あちゃ〜というべきでしょうか?

 

なぜ、戦場に美女がいる?

なぜ、戦場で美女が戦っている?

なぜ、戦場の美女が攻撃してくる?

 

麃公の「女好き本能プログラム」は、想定外の事態と遭遇して、フリーズしてしまったのかもしれません(笑)

 

「これも…本能ゆえか」「なら 仕方ない…」「だけど…最期に見たものが」「野郎の首じゃなくて よかった…」「ほんとに よかった…」

 

蜂が花の香りに誘われるように、麃公の本能は盗扇を求めて来た。

しかし、その美しい花は、甘い蜜とともに猛毒を湛えていた。

 

そうか、そうだったのか。

なら、仕方ない。

 

この麃公の潔さは、さすがというべきでしょう。

だまされたとか、悔しいという思いは微塵もない。

生涯、女を愛し求め続けたドン・ファン、麃公。

 

女性からすると、「最期に見たのが、女のフトモモ?それでよかった?アホちゃう?」と思うかもしれませんが(笑)、私はそんな死に様もありかな、いや、むしろあっぱれ!と思います。

 

人生は恐ろしい冗談の連続です。

 

それにしても、この戦いで麃公さんが死ぬ展開になるとは、思いもよりませんでした。

連合軍中、最強レベルの項燕でも倒せない麃公を討った盗扇の一撃は、ある意味「達人の技」といえるかもしれません。

 

タイトルの「本能の促す先」、そこには甘美な罠と死が待っていたというのは、おかしくも切ないですね……

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<麃公に斬りかかる盗扇漫画アクション2021/5/18発売号「達人伝」より〜> 

達人伝〜絶好調の孟梁

蒙驁軍の本営。

 

秦将・蒙武は、早すぎる敵軍の侵攻に驚きながら、戦国の雄・廉頗が先頭切って突撃してくるのを待ち構えます。

 

しかし、現れたのは廉頗ではなく、見たこともない白髪の馬骨。

ではなく(笑)、疾風迅雷、震天動地、一騎当千、天下無双、尚武の国・趙の雄、炎の烈将たる孟梁さんでした。

 

いや〜孟梁さん、じつに気持ちよさそうですね! 

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<絶好調の趙将・孟梁さん〜漫画アクション2021/5/18発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜所を得る 

孟梁さんは、所を得た。

 

どれだけ活躍できるか、どれだけ手柄を立てられるかは、じつのところ、その人の能力とはあまり関係ありません。

 

蒼天航路」で、周瑜孫権軍の中では唯一無二の王佐の才だが、曹操軍に入れれば20人のうちの1人の将ぐらいだろう、と劉備が話していた場面があります。

 

諸葛亮にも、おそらく同様のことがいえます。

 

仮に、孔明曹操に仕官していたら、大した活躍はできなかったでしょうが、劉備に仕えたからこそ歴史に名を残すことができた。

 

つまり、中小レベルの組織では目立った活躍ができるけれど、優秀な人材が多い大組織では埋もれてしまう。

 

もちろんこれは、組織規模の大小や人材レベルの高低だけでなく、組織文化との親和性、そして「縁」も大きいと思います。

 

曹操なら、優秀な人材が家にこもって仕官を渋っていると聞いたら、「ベッドごと縛り上げて連れてこい!」とか言いそうですが(笑)、やはり孔明は、三顧の礼を尽くされて劉備に仕えるのが「縁」だったのかな、と思います。

 

さて、もし孟梁さんが秦軍に入っていたら、誇大妄想癖の激しいめんどうくさい人材と評価され、冷遇されていたことでしょう。

 

窓際族の函谷関に配属?(笑)

 

しかし、孟梁は自らの意思で連合軍に加わり、先頭切って敵陣に突っ込み、荘丹たちの理解と支援を得て、秦軍本営に突入。

 

かつては踏んだり蹴ったりえらい目にあった孟梁さんですが、今まさに人生の見せ場、クライマックスを迎えているのではないでしょうか?

達人伝〜秘剣・絶界 

絶好調の孟梁さんの前にスッと出た荘丹が、秘剣・絶界を発動。

 

作者の王欣太先生は、じつは秘剣・絶界的な術を使えるんじゃないか?とひそかに疑っているんですよね(笑)

そうじゃなければ、このような不可思議な絵は描けないのではないかと。

 

さあ、秦軍最後の砦・蒙武くんに秘剣・絶界が発動されたら、戦の大勢は決まりか?

次回,「第178話・総攻撃開始」をお楽しみに!

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<秘剣・絶界を発動する荘丹〜漫画アクション2021/5/18発売号「達人伝」より〜>

 

【前回のレビューはこちら】

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あわせて読みたい

達人伝の魅力をこまかく,マニアックに語り始めるとキリがありません!

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達人伝~9万里を風に乗り~ コミック 1-29巻セット

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「達人伝」感想(第176話・流氓混成軍団)

「達人伝」感想(第176話・流氓混成軍団)

蒼天航路」の王欣太(キングゴンタ)先生が連載している「達人伝」のあらすじと感想を紹介します!

 

前回のレビューはこちら。

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今回は,「第176話・流氓混成軍団」です! 

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<漫画アクション2021/4/20発売号「達人伝」より>

 

【目次】

達人伝〜劉邦の武〜 

盗跖(とうせき)と劉邦の混成軍団が,秦軍に突入。

 

盗跖も劉邦も,「紳士」(公権力側)と対極にある「流氓(りゅうぼう)」。

流氓の彼らが,秦軍総帥・蒙驁(もうごう)率いる正規軍に通用するのか?

 

劉邦は,「敵陣ど真ん中を ぶち抜こうぜえー」と気炎を上げます。

ヌンチャク状の武器は置き,両手を広げ,両足を踏ん張り,流氓混成軍団を鼓舞することに専念。

 

これが,劉邦の武!

自ら先頭を切って敵陣に切り込む武もあれば,陣中央で全軍の士気を高める武もある。

 

盗跖軍に「うおおおおおー」「首領ぁーっ」と呼ばれ,あっという間に心を掴む劉邦

さらに,「盗賊なんかに 邦を取られてたまるか」と,無双のボディガード・樊噲(はんかい)が奮起。

 

劉邦を中心に競い合うように襲いかかる劉邦軍と盗跖軍は,手のつけられない勢いが加速します。

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<気炎をぶち上げる劉邦漫画アクション2021/4/20発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜七人の侍 

盗跖の部下・魁(かい)と,劉邦の部下・樊噲(はんかい)。

 

彼ら以外の名前は明らかになっていませんが,盗跖の部下4人と劉邦の部下3人の計7人が,秦中央軍へ怒涛のごとく突っ込みます。

 

リーダーシップに対して,フォロワーシップという言葉があります。

世の中の全員がリーダーになれるわけではない。

組織は,多数のフォロワーと少数のリーダーで構成されるのが常。

 

リーダーにばかり光が当たりがちですが,良きリーダーと出会い,彼ら彼女らの力になることを喜びとする良きフォロワーも,幸せな人生ではないでしょうか?

 

歴史の表舞台に出ない,流氓の7人。

彼らにも「その他の部下」で片付けられない,各々の人生,個性,ドラマがある。

 

いわば,七人の侍

彼らの熱き義侠心こそ,時代を揺り動かす存在となることでしょう。

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<秦軍に突っ込む流氓の7人〜漫画アクション2021/4/20発売号「達人伝」より〜> 

達人伝〜モチベーションの差

話はそれますが,南極点到達を目指して争ったアムンセンとスコットがいます。

最短最速で極点到達を達成したアムンセン隊に対し,遅れて到達して帰路に遭難全滅したスコット隊。

 

2人の明暗を分けたものはなんだったのか?

 

独立研究家の山口周さんは,装備や準備の違いもさることながら,根本的な差異として「モチベーション」を挙げます。

ニュータイプの時代

ニュータイプの時代

 

 

アムンセンは,幼い頃から探検家志望。

冬に窓を開け放って寒い環境で寝る練習をしたり,船長の資格を取得したり,高いモチベーションを維持。 

 

探検のためのスポンサー集めに苦労しており,じつは当初は北極点を目指していました。

しかし,出発直前,ロバート・ピアリーが北極点到達のニュースを知ります。

 

口うるさいスポンサーの影響等が届かない外洋に出てから,アムンセンは「2番目到達に意味はない!我が隊は南極点を目指す!」と宣言。

隊員は,歓喜して受け入れたといいます。

 

目的地をあっさり地球の反対側へ変更する,切り替えの速さ。

スポンサーを出し抜く,人をくったような大胆さ,ふてぶてしさ。

 

「歴史に残る探検家になる」というモチベーションがめちゃくちゃ高かったんですね。

そして,探検家としての準備も,長年にわたって積み重ねてきた。

 

一方のスコットは,エリートの職業軍人

英国王室の威信をかけ,軍のバックアップを受け,任務に忠実に取り組みました。

 

が,いかんせん,そのモチベーションや探検家としてのバックグラウンドは,アムンセンには及ばなかったことでしょう。

達人伝〜職業軍人・蒙驁〜

さて,アムンセンのような自発的モチベーションの高い流氓軍団に対し、スコットのような職業軍人の秦軍総帥・蒙驁。

 

とはいえ,ここは未踏の大地でなく戦場。

戦闘のプロフェッショナルであり,歴戦の将である蒙驁さんに一日の長がある。

 

蒙驁さんの攻撃がエグい!

動物愛護団体から猛烈なクレームが来そうな勢いで(笑)、流氓軍団の勢いを止めにかかります。

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<獅子奮迅の秦軍総帥・蒙驁〜漫画アクション2021/4/20発売号「達人伝」より〜>

このシーンは,「蒼天航路」で孫呉軍の突破を図った関羽を思い出します。

 

次々と襲いかかる虎に対し、青龍刀の切っ先で目を斬り、脚を斬る。

戦意喪失させることだけを目的に、一切の無駄を排し、最小限の動きに徹する。

 

まさに,鬼神のような関羽でした。

蒼天航路(36) (モーニングコミックス)
 

 

見事,7人の流氓の勢いを止めることに成功した蒙驁は,先頭の二百騎に掃討するよう命じたところで,「そうはいかないよ」と背後から盗跖に斬りかかられます。

 

痛恨の蒙驁。

 

蒙驁が転進したところ,狙いすましたかのように現れた盗跖の嗅覚は、八代目盗跖譲りですね!

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<蒙驁に斬りかかる盗跖〜漫画アクション2021/4/20発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜北東の戦場〜

秦の黄壁軍,王翦軍と,廉頗と丹の三侠軍が対峙。

 

無名(ウーミン)の隙を見て,その剣を奪う王翦

軍指揮だけでなく見事な武技を見せた王翦ですが,廉頗にあっさり斬撃をかわされます。

 

まあ,手負いの状態とはいえ,レジェンド廉頗にはそうそう勝てない(笑)

 

しかし,矢傷のため,一瞬動きが硬直した廉頗。

荘丹が桓齮をいなし,無名が王翦に裏拳をかまし,庖丁が剣を奪い返したため,王翦と桓齮は撤退を指示。

 

いいとこなしの王翦ですが,このあたりの判断の素早さはさすがですね!

達人伝〜天下の大将軍・孟梁

さあ,孟梁さんが大進撃を開始します!(笑)

 

「歴戦の勇将 孟梁!」

「尚武の国 趙の烈将 孟梁参上!」

「見よ!白馬でなくとも道が開く!」

「天下に馳せる武名とはまさにこういうものだ!」

 「趙の雄!炎の烈将 孟梁来来ーーーっ」

 

無名がいうとおり,聞いている方が恥ずかしくなるセリフの数々です(笑)

しかし,荘丹の見立ては異なります。

 

「口を衝いて出る言葉は はったりや妄想の類かもしれない」

「だけど あんな武将が他にいたか?」

「大声で自分を褒めながら 秦の陣の中央を先頭を切って駆け抜ける」

「そんな武将が他にいたか」

 

そして,こう続けます。

「あの頓着のなさは武器になる」

「無名 庖丁!孟梁さんの脇につこう」

 

荘丹の慧眼はさすが。

孟梁さんは,戦場の最前線で戦っているんですよね。

 

有言実行。

安全な場所から批判するのではなく,自ら危険な場所に赴いて体を張る。

 

世の中,悲観してウジウジ行動しないでいるより,楽観してウオリャーッと勢いで突っ込んでみると,意外となんとかなるもの。

 

孟梁さんは,友達になりたいタイプ。

一緒に酒を飲むと,自慢話がうるさそうですが(笑)

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<天下の大将軍・孟梁〜漫画アクション2021/4/20発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜黄壁の迎撃

情動の将・孟梁さんに対して,理性の将・黄壁。

 

 「どこだ秦将!」

「剣を交えたいとは思わぬか この趙の名将とーーっ」

 

孟梁さんが黄壁に気づかずスルーしていく様は,ギャグですね。

黄壁と秦兵のシュールな視線が冷たすぎる(笑)

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<黄壁に気づかずスルーする孟梁〜漫画アクション2021/4/20発売号「達人伝」より〜>

 

孟梁が通り過ぎたところで,冷静に迎撃を指示する黄壁。

 

いや,猪突猛進タイプの孟梁さんにとって,冷静沈着タイプの黄壁は,相性最悪ではないでしょうか?

 

まるで隙が見当たらず,まんまと迎撃のワナにハマってしまった孟梁。

丹の三侠が脇を固めるも,切り抜けることができるのでしょうか?

 

次回,「第177話・本能の促す先」を乞うご期待です! 

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「達人伝」感想(第175話・秦の様態)

「達人伝」感想(第175話・秦の様態)

蒼天航路」の王欣太(キングゴンタ)先生が連載している「達人伝」のあらすじと感想を紹介します!

今回は,「第175話・秦の様態」です! 

【目次】

達人伝〜思惑、三様〜 

今回のサブタイトルは「思惑、三様。」

 

あやうくさらっと読み飛ばすところでしたが、太后・朱姫、秦王・贏政、宰相・呂不韋の3人は、じつは血の繋がった親子であり家族。

 

しかし、中央の秦王は、朱姫と呂不韋の関係を断裂させる構図となっており、自身の出自を否定したい秦王の思いを象徴しています。

 

秦王は、天下統一という中華史上初の覇業へ爆進。

呂不韋は、安定的かつ堅実な国政運営を志向。

朱姫は、呂不韋への愛の喪失と復讐の渦中。

 

まさに三者三様の思惑がすれ違い、やがて交差していきます。

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<漫画アクション2021/4/6発売号「達人伝」より>

 

前回のあらすじと感想はこちら。

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達人伝〜太后の懐妊 

太后が懐妊しました。

太后の夫である前秦王は既に亡くなっているため、本来、懐妊はありえない。

 

懐妊の相手は、呂不韋が自身の身代わりとして、宦官の形で後宮に送り込んだ嫪毐(ろうあい)。

 

嫪毐については、巨根ひとつで歴史に名を残した凄い人物として、以前の記事で紹介しました。

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しかし、今回感じたのは、朱姫の念の凄さ。

 

「生き存らえたければ あなたはもう 成り上がるしかないの」

太后である 私の力のすべてを使って」

 

朱姫にすれば、相手は嫪毐でなくても、誰でもよかったのではないでしょうか?

すべては、心から愛したのに、自分を何度も切り捨てた呂不韋への復讐。

 

女性の恨みは、本当に怖い。

 

国史上に登場する怖い女性といえば、劉邦の妻・呂太后が思い浮かびます。

 

太后は、政敵の女性の両手両足を切り落とし、目玉をくり抜き、耳と声を薬でつぶし、便所に置いて「人豚」と呼び、さらし者にして笑い転げたと史実にあります。

 

人間そんな状態ではわずかしか生きられないはずですが、簡単に死なせないよう、恥辱を長引かせるよう、止血処置や飲食を取らせて、生きながらえさせたとのこと。

 

恐ろしい……

 

私はこの話を中学生の時に知り、「女性を怒らせたり恨まれたりすると、めちゃくちゃ怖い!」「男は、こんなことできないだろう!」と、かるいトラウマになりました(笑)

 

今まで呂不韋に利用されるばかりだった朱姫が、復讐として政事に関わることに。

底知れぬ怨念と虚無を秘めた眼が怖いですね……

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<太后・朱姫〜漫画アクション2021/4/6発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜黄壁の抜擢〜

前回、初登場して何者?と疑問だった黄壁の出自が、明らかになりました。

なるほど、呂不韋による抜擢でしたか!

抜擢の理由は、文武双方の力量に加え、自分以外の者を信じていない点。

 

自分以外の者を信じるか、信じないか?

 

呂不韋は、「自分以外の者を信じていない」「思えばそれは この秦に移ってきた者 すべてに共通する性質かもしれない」といいます。

 

しかし、自分以外の者を信じていないという呂不韋でさえ、仕事や生活をするためには、まったく他者を信じずに生きることはできません。

人間が社会生活、共同生活を営むためには、一定程度の他者への信頼が前提となるからです。

 

したがって、ここで呂不韋がいっているのは、「根本の根本、根っこの根っこのところで、自分以外の者を信じるか、信じないか?」ということでしょう。

達人伝〜信じるとは?

そもそも、「信じる」とは何か?

 

私が思うに、信じるとは、究極的に自分の命を他者へ預けること。

弱い自分、ありのままの自分をさらけ出し、自分の命を任せられると思うこと。

 

よく考えると、信じるとは、むちゃくちゃおっかないことです。

 

たとえば、黄巾の乱太平道や、現代のオウム真理教

彼ら彼女らは狂信的な宗教を信じ、その組織と同化し、破壊的,破滅的な行動に走りました。

 

たとえば、「キツネ憑き」という現象。

あれは、キツネを信じて信じて、凄まじいエネルギーをキツネに捧げることでシンクロして自身がキツネ化するのだ、と聞いたことがあります。

 

何を信じるのか?

自分しか信じないのか、他者を信じるのか?

 

もちろん、他者を信じるといっても、どれほど信じるに足りる者か、どれほどその他者を信じるかは、様々なレベルがあります。

 

古代中国に存在した「侠」という概念は、ひとたび他者を信じれば、自分の命を失うことも厭わないというもの。

 

その意味で、丹(あかし)の三侠こそ、「人を信じる達人」なのかもしれません。

 

しかし、この呂不韋の独白シーン、セリフと「義」「侠」のイメージが絵に昇華されていて素晴らしく大好きです。

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<秦の宰相・呂不韋漫画アクション2021/4/6発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜ギリシャ人と兵馬俑

異民族で構成する王直属の軍を構成するため、人狩りを行う秦王。

 

捕らえた移民族の中にギリシャ人がおり、秦王は彼のつけているネックレスの彫像に目をつけ、「格好の獲物が狩れたぞ」「兵馬俑にうってつけじゃ」といいます。

 

これ、よくわからなかったので調べたところ、なんと秦の始皇帝兵馬俑には、ギリシャ文化の影響が見られるとのこと。

 

どういうことかというと,古代中国には等身大の彫像を作る風習はなかったのに、兵馬俑には膨大な数の兵士の等身大の彫像が残されている。

 

それははなぜかというと、ギリシャ人が彫刻の作成指導をしたからではないか、という説があるのです!

 

中央アジアまで遠征し、ギリシャ彫刻などの文化を伝播させたアレクサンドロス大王が没したのが、紀元前323年。

 

始皇帝はその約60年後に誕生しており、等身大の彫刻を彫るギリシャ文化の影響を受けても、不思議ではありません。

 

じつにおもしろい!

 

そして、このような自然なストーリー仕立てで、始皇帝ギリシャ人との出会いを物語に落とし込むゴンタ先生の手腕はさすがです。

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<人狩りを行う秦王〜漫画アクション2021/4/6発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜項燕危機〜

秦将・麃公(ひょうこう)の中央突破により、陣を崩された項燕。

 

項燕は、「函谷関以来 あいつとは数度当たったが それぞれがまるで別人の戦いぶり」と迷いがあります。

 

引き出しが多く、変幻自在の麃公さん,今回はまんまと項燕の気勢をそらし、後軍と合流して崩れた連合軍を追い詰めにかかる算段でした!

 

項燕は、個の武は確実に上がりましたが、軍対軍の戦術や読み合いにおいては、麃公に及ばないようです。

 

「ほざきおって〜〜」「だがしかし これはいったいどうしたものか」という項燕。

項燕と李牧軍、劣勢確定でしょうか!?

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<項燕をいなす秦将・麃公〜漫画アクション2021/4/6発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜盤石の蒙驁〜

膠着を破って秦中央軍を崩すため、劉邦と盗跖の賊党軍を正面からぶつけてきた連合軍。

 

しかし秦軍総帥・蒙驁(もうごう)は、「奇抜な軍容と戦いぶりに惑わされてはならない!」「個々の武を見極め 丁寧に潰していきなさい!」と指示。

 

この指示、冷静かつ的確すぎます!

 

次元は異なりますが、自分の経験(バドミントン歴30年)を振り返っても、あきらかに実力が格上の相手と戦うときは、序盤にトリッキーな戦法で相手の撹乱を狙います。

 

しかし、相手がひとつひとつ丁寧に対応し、さっぱり混乱してくれないと、時間の経過とともに敗色濃厚となります。

 

反対に、格下や実力不明な相手と対戦するときは、相手が奇抜な方法を仕掛けてきても、ひとつひとつ落ち着いて確実にさばき、その狙いやクセを見極めれば、自ずと勝機は見えてきます。

 

見えないと、負けます(笑)

達人伝〜劉邦の気炎〜

プロ野球のように、シーズン中100試合以上戦うような場合、冷静に落ち着いて戦う限り、実力,総合力の優れたチームが勝つ確率が圧倒的に高い。

 

反対に、オリンピックなどのような一発勝負の場合、どちらに転ぶかわからないことはしばしばです。

 

ましてや、ルールやフィールドが厳密に決められたゲームやスポーツの世界とは異なり、不確実性、不安定性の極致といえる戦争においては、何が起きても不思議ではありません。

 

たとえば、織田信長徳川家康の連合軍と、武田勝頼軍が対決した「長篠の戦い」。

 

戦国最強の武田騎馬隊を、鉄砲の三段撃ちという新テクノロジーにより信長があっさり撃破した通説は見直されているようですが、それはそれとして、「雨」が勝敗を決した説があります。

 

じつは、長篠の戦いは、梅雨どきの6月下旬。

開戦直前まで、連日雨が降っていました。

 

武田軍は、織田・徳川連合軍が膨大な鉄砲を持っていることを把握しており、しかし雨により火縄銃が使い物にならないと読んでいた。

 

天候に詳しい地元の農民に確認し、次の日も雨が降る予想を踏まえ、武田軍は翌朝からの総攻撃を決定。

 

しかし、予想に反して雨はあがり、連合軍の3,000丁の鉄砲が猛然と火を噴いた!

 

もし、予想どおり、せめて半日でも雨が降り続いていれば?

歴史は変わっていたかもしれません。

戦場は、誠に御しがたい不確実性、不安定性に満ちたものです。

 

さあ、我らの劉邦くん、磐石の安定感を誇る蒙驁軍を崩すことができるのか?

次回,「第176話・流氓混成軍団」に,乞うご期待です!!

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<気炎を吐く劉邦漫画アクション2021/4/6発売号「達人伝」より〜>

 

あわせて読みたい

達人伝の魅力をこまかく,マニアックに語り始めるとキリがありません!

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達人伝~9万里を風に乗り~ コミック 1-27巻セット

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「達人伝」感想(第174話・天命を繋ぐ)

「達人伝」感想(第174話・天命を繋ぐ)

蒼天航路」の王欣太(キングゴンタ)先生が連載している「達人伝」のあらすじと感想を紹介します!

今回は,「第174話・天命を繋ぐ」です! 

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<将軍・廉頗〜漫画アクション2021/3/2発売号「達人伝」より>

 

【目次】

達人伝〜廉頗の判断 

前回は,秦将・王翦(おうせん)が炎車(えんしゃ)を廉頗(れんぱ)軍に突入させ,煙幕の向こうから弩を打ち込む展開で終わりました。

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一旦,射程外まで退くよう指示する廉頗。

 

「この煙幕の晴れ際こそ 敵の攻め際だ!」「また弩か?あるいは何か別の手か?」「いずれにせよ まず敵将を知る!」「晴れ際に先鋒50騎で突入だ!」と,自ら先頭を切って王翦軍へ突撃。

 

すると,王翦軍は陣を引き下げており,両側から矢が打ち込まれます。

一見,ただの矢の攻撃ですが,これ,めちゃくちゃ厄介なやつですね!

 

真正面から打ち込まれる矢は,正面方向に注意すれば,ある程度対処することが可能。

しかし,斜め方向から,しかも両サイドから角度をつけて飛んで来る矢への対応は,きわめて困難。


射線の交差点上に誘い込み一斉射撃で敵の殲滅を図る,現代戦でいう「十字砲火(クロスファイヤー)」です。
 

自身も矢を受け,しかし「怯まず 突っきれい」と叱咤する廉頗。

うーん,この廉頗の判断はどうなんでしょう?

 

廉頗の目的は,敵将を見定めること。

先鋒50騎で突入して多少の犠牲は払っても,廉頗軍全体に影響を与えることはなく,まさか自身が討ち取られるとは想定していない。

 

しかし,必殺の十字砲火に誘い込まれ,自身も矢傷を受けた状態での突撃は,妥当な判断なのでしょうか?

 

ナポレオンいわく「戦の勝敗を決するのは,4分の1は敵味方の兵力のバランス,4分の3は戦士の勢い」。

おそらく,廉頗は歴戦の経験から,「ここは勢いで突破!」と考えたのでしょう。

 

が,王翦は「個々の武運まかせの 無謀な突進」「そして 廉頗自身の武も損なわれた」と冷静に分析。

 

用意周到な狩人のような王翦を前に,さすがの廉頗も「詰み」ではないでしょうか!?

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<突撃する廉頗〜漫画アクション2021/3/2発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜秘剣・絶界!

「桓齮!廉頗をとるぞ」と王翦

冷静沈着な王翦も,行ける!と踏んだのでしょう。

 

胸に受けた矢が抜けず「力が入らん!」とあせる廉頗を守るように,丹の三侠が前に出ます。 

王翦は「廉頗の前に出た三人」「武具 筋骨 ともに並以下」と,なおも冷静に観察。

 

しかし,ここで荘丹の秘剣・絶界が発動!

王翦は,剣を天へ放り投げてしまいます!!

 

このような反則級の技を見せられては,王翦も桓齮も廉頗も,みんなあっけに取られますよね(笑)

 

理外の理。

ここまで,王翦は完璧でした。

一手一手,周到に積み重ねてきた戦術が,思いもよらぬ奇手一手で崩壊。

ちょっと,王翦に同情したくなります(笑)

 

あ,よく見ると,庖丁さんも桓齮の馬に牛刀を差し向け,落馬させています。

今まで,叔父貴の牛刀に頼ってきた庖丁が覚醒して独り立ち!!

 

「感覚をおさえ 心神が前に出ようとする 精なる神の導くままに」

 

なかなか難解でわかりにくい荘子の言葉ですが,現代風に解釈するなら,フロー状態やゾーンに近い感覚でしょうか?

 

王翦のように分析的,論理的に考えたり,恐怖や怒りの感情に身を任せるでもなく,自身の本能や直観を信じて,目に映るまま,あるがままに委ねる。

 

宮本武蔵いわく,「千日の稽古を鍛となし,万日の稽古をもって錬となす」。

荘丹の秘剣・絶界や庖丁の秘技は,そのような鍛錬の末に得られる境地かもしれません。

 

しかし,この絵,凄くないですか?

 

王翦,桓齮,荘丹,庖丁,無名,廉頗の6人馬が交差する一瞬を描いた絵の躍動感が,たまりません!!

 

仔細に見れば見るほど,1人1人,1匹1匹の視線や顔の向きなどの表情と手足の動きに物語が感じられ,じつに味わい深いです。

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<荘丹の秘剣・絶界〜漫画アクション2021/3/2発売号「達人伝」より〜>

 

先日,神田房枝さん著「知覚力を磨く」という本を読み,非常に勉強になりました。

 

まさに,ゴンタ先生の絵は,さまざまな工夫やたくらみ(もちろんいい意味で)が施されており,じつによい知覚力のトレーニングにもなると思います。

達人伝〜謎の将・黄壁

剣を放り投げてしまった王翦は,それでも弩兵に攻撃するよう指示しますが,無名(ウーミン) が王翦に剣を突きつけ,弩も剣も捨てるよう秦軍に勧告。

 

すると,「刎ねるなら 刎ねるがよい! 」「代わって この黄壁が指揮を執る」と秦将・黄壁が登場します。

 

「黄壁?……」

 

この王翦の反応から察するに,「黄壁?誰やねんそいつ!」あるいは「黄壁?あのザコかいな!」といったところでしょうか(笑)

 

この黄壁,将軍級の重厚で立派な鎧を着て酷薄苛烈,デキる雰囲気がプンプンしますが,なんだか胡乱で,不穏な印象が拭えません。

 

ひょっとして,秦王にその才を見出され,戦場へ行くよう直々に命令を受け,軍監的な立場で登場したとか?

 

ググってもヒットせず,これまでゴンタ先生の作品には登場したことのないニュータイプのキャラクターのように思えて,ちょっとワクワク。

 

黄壁いわく,「将の首ひとつのために 武器を捨ててはならない!」「戦はまだ始まったばかりだ!」

 

いや,秦軍全体の情勢を鑑みれば,そのとおりかもしれませんが,王翦軍の兵士にすれば,突然登場した見知らぬ人にそんなこと言われても,「え,えーっ!?」と受け入れがたいでしょう(笑)

 

しかしなんと,そんな黄壁の無茶ぶりにまっさきに応えたのが,敵の廉頗。

 

「然り」「まさに これからだっ!」「孟梁ーっ 全軍を発進せいー!」と,まだ秦軍が投降するかもしれない微妙な空気をぶち壊し,戦局をカオスへと動かし始めます。

 

廉頗はいくつになっても,とことん戦が好きな戦人(いくさびと)なんですね(苦笑)

 

以前,とある政治家(60代)に相談した際,面倒ごとは避け平和路線で行けるよう調整をお願いしたのですが,彼は「最近退屈していた。荒れそうで楽しくなってきたな。フフフ」と笑うんですね。

 

「先生,そんな余裕ないですよ〜勘弁してくださいよ〜」と言いましたが,「フフフ」と笑うのみ。

「戦人のように生来のケンカ好き」「どれだけ荒れても乗り切る自信があるんだな」「くぐってきた修羅場の数が違うのだろう」と舌を巻きました。(実際けっこう荒れましたが,乗り切りました)

 

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<秦将・黄壁〜漫画アクション2021/3/2発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜天命を繋ぐ

連合軍総司令官・龐煖 (ほうけん)。

 

右翼に廉頗,左翼に項燕を配し,中央本隊を龐煖と李牧が率いる贅沢な布陣ですが,秦軍前軍が蒙武から蒙驁(もうごう)に代わるや,攻めあぐねています。

 

そこで,盗跖軍と劉邦軍を合体させ,先鋒として敵陣中央を衝くよう指示。 

「くらえ 蒙驁」

 

いいですね,この龐煖のセリフと表情と間合い!

個の武においても,全軍の指揮においても隙を見せない蒙驁に,予想の斜め上を行くとっておきの隠し玉!

 

劉邦はいいます。

「盗跖姐さん!あの敵の大将 あの白馬のじいさんは ただもんじゃねえ!」

「だけど 戦はひとりの武でもねえ!おいら達で ぶっこ抜こうぜ!」

 

ああ,劉邦は戦の何たるかをわかってるんですね。

 

中学生のとき,はじめて司馬遼太郎先生の「項羽と劉邦」を読んだ感想は,「なんで,天下無双の項羽が敗れ,これといってとりえのない劉邦が天下を取れたんだ!?」という素朴な疑問でした。

 

四面楚歌の後,項羽は「自分が弱いから滅びるのではない。天が自分を滅ぼそうとするから滅びるのだ」ということを証明すべく,わずかに残った部下たちと突撃を繰り返しては宣言どおり生還しましたが,再起は難しいと悟り,自刎して果てます。

 

項羽と劉邦(上中下) 合本版

項羽と劉邦(上中下) 合本版

 

  

まさに,戦はひとりの武で決まるものではないんですね。

 

そんな劉邦に,盗跖は先鋒の指揮を託します。

「天の時を盗む」「それがあんたの天命だよ」

これは,荘丹が8代目盗跖(現盗跖の兄貴)に投げかけた言葉でした。

 

天の時を盗むとは?

劉邦はこの言葉をどう捉え,どう行動に活かすのでしょうか?

次回,「第175話・秦の様態」に乞うご期待です!!

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 <劉邦と盗跖〜漫画アクション2021/3/2発売号「達人伝」より〜>

 

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<漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より>

 

【目次】

達人伝〜麃公の天賦の才〜 

前回のあらすじと感想はこちら。

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さあ、連合軍と秦が開戦!

 

扉絵で「連合軍を迎え撃つ秦の武将たち!」とあるように、今回は秦の麃公(ひょうこう)、蒙驁(もうごう)、王翦(おうせん)の3人の武将の視点で描かれます。

 

まず、麃公さん。

 

前回までは、荘丹の秘剣・絶界で翻弄されカンカンに怒ったり、項燕に馬ごと斬り上げられて空を飛んだり、あたふたしていましたが(笑)、今回はすっかり落ち着きを取り戻しています。

 

麃公 vs 項燕 & 李牧。

この立ち回りが、じつにおもしろい!

 

麃公は、李牧が仕掛ける矢を冷静に打払い,項燕の斬撃を右手の戟で受け止めます。

同時に、左手で剣を抜き、まるで忍者のような握りと振りで項燕に斬りつける。

項燕危うし!と見た李牧は、龐煖の馬の尻を蹴って救助。

 

その直後、麃公は右手の戟で李牧に斬りつけ、李牧は仰向けになんとかかわしますが、麃公は李牧の馬の尻を蹴り、目論見どおり中央突破に成功。

 

麃公は、「一度交戦すれば どんな武の際もおのずと見切れる」「それが俺に備わる 天賦の才だ!」と語っています。

 

たしかに、麃公は項燕、李牧と直前に対戦していますが、学習能力が高すぎでしょう!

右手に鉾、左手に剣、さらに足技まで駆使して、宣言どおり敵中を分断する麃公の武は圧倒的です。

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<中央突破する秦将・麃公漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜麃公の二刀流

麃公、項燕、李牧の大立ち回り、ゴンタ先生はどうやって考えたのでしょう?

 

馬、武将、剣のフィギュアを用いて、こうして、ああして、こっちから見て、あっちから見てと実際に動かしたりしないと、具体的なイメージは描けないのではないでしょうか?

 

あと、考えさせられたのが、麃公の二刀流。

右手に戟、左手に剣を操っていますが、戦場では一刀流と二刀流、どちらが実戦向きだったのでしょう?

 

現代では、剣道やフェンシングに代表されるように、一刀流が主流。

ですが、宮本武蔵二天一流もあるし、蒼天航路でも呂布張遼は両手に矛を持ってブンブン振り回していました。

 

二刀流に習熟するには、利き腕じゃない腕にも、相応の器用さと腕力が求められることでしょう。

野球やボクシング界では、希少なサウスポーは有利ですし、二刀流はそれだけで不慣れな相手に有効だったのかもしれません。

達人伝〜秦軍総帥・蒙驁

続いて、蒙驁さんです。

麃公の動物的、直感的な武に対し、蒙驁は観察眼と洞察力を遺憾なく発揮します。

 

南西から、北東から、怒涛のごとく押し寄せる連合軍。

さらに、戦国最強の武将・廉頗が、目の前の本隊でなく北東方面にいると判明。

 

蒙驁は、「向かわせた王翦には負担が重すぎる!」「代わって私がそちらに当たるべきか!?」と迷いつつ、王翦桓齮の武、戦局全体のバランスを考慮し、「いや まずはこの本隊!」と腹を据えます。

 

攻め急ごうとする蒙武に対しては、「押さえ込んではいない!」「敵の音を聞きなさい」「左右ともに 劣勢の音がしない」と分析。

 

蒙驁の一連の観察力、判断力、胆力は、美しすぎてセクシーさすら感じます。。。

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<冷静かつ豪胆に指揮する秦軍総帥・蒙驁漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜劉邦誕生!

左右両翼から攻め上がってくる盗跖と劉邦

おや、劉邦はヌンチャクのような武器を振り回していますね。

 

劉邦が、個の武を発揮する場面はあまりないような気もしますが、戦場でどのような活躍が描かれるのか、楽しみです!

 

そして、龐煖に「劉邦」と呼ばれ、「ん?…劉邦!?……おっと 悪かねえ響きじゃねえか!」

邦(バン)あらため、劉邦の誕生です! 

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<劉邦誕生〜漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜蒙驁の子蒙武

「司令官 龐煖!賊党の類まで自在に操り 常道を越えた戦に仕立てようというのか!」と唸る蒙驁。

さらに、「前軍はこの子ではもたない…」とわが子・蒙武の力量を見切り、本営へ下がるよう命じます。

 

さて、麃公王翦桓齮、楊端和たちは、順調に成長しています。

蒙武はどうなのでしょう?

 

「キングダム」では、蒙武は巨躯剛腕を誇る豪将として描かれていますが、達人伝の蒙武は、名将・蒙驁に遠く及ばない凡将として終わるのでしょうか?

 

えてして、2代目は偉大な初代を超えられないジンクスがありますが、修羅場をくぐり抜ける中で成長・覚醒する日が来るのでしょうか?

 

今のところ、あまり伏線は感じられませんが、個人的には実直に任務に打ち込む蒙武の今後に期待したいところです!

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<蒙驁と蒙武漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より〜>

達人伝〜蒙驁の髪型

そういえば、達人伝の登場人物の多くは、頭巾で髪の毛をまとめているケースが多いですが、蒙驁や麃公は頭巾を被っていません。

 

じつはこの髪型、型にはまらない自由なスタイルの象徴だったりするのでしょうか?

 

王道中の王道、本命中の本命の人材と思われる蒙驁が、じつはフリースタイル的な考えの持ち主だとしたら、かなり意外!

 

今まであまり意識していませんでしたが,登場人物の髪型とキャラクターの関係性を観察・考察するのもおもしろいですね!

達人伝〜将軍・王翦

さあ、最後は王翦「将軍」です。

 

当時の「将軍」という称号は、現代のサラリーマン組織でいえば、おそらく「課長」より上の「部長」、あるいはもっと上の「取締役」ぐらいのステイタスでしょうか?

 

王翦将軍は、判断が速い!

敵軍に廉頗がいるとわかるやいなや、すぐさま本営に援軍を要請し、炎車(えんしゃ)を用意させます。

 

さらに、部下のモチベーションを上げるのもうまい!

「天下最上の首だが 年寄りだ」「取れば 将軍職の俸給数10年分にも相当する」と、桓齮をあおります。

 

そりゃ、桓齮も「ぐおおお」「人生一発逆転!やらいでかーーー」と奮い立つでしょう(笑)

同じ野心家でも、楊端和は冷静な性格ですが、桓齮は若気の至りというか、かわいげがありますね。

 

ごくっと生唾を飲み込み、「いざぁ〜〜〜」と緊張する桓齮に、ニヤリと笑う廉頗が登場。

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<廉頗を待ち構える桓齮漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より〜>

 

「やっぱりやめとく」という桓齮に、「それがいい」と冷静に答える王翦

 

なるほど、二人とも天下に名を轟かせる名将・廉頗を見るのは初めてで、桓齮は感性で、王翦は理性で、「かなわない!」と判断したのですね!

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<廉頗への攻撃を取りやめる桓齮漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より〜>
 

しかし、そこはデキる男・王翦

自軍が廉頗と衝突する可能性を見越し、「炎車」を準備していました。

 

炎車とは、ワラなどを燃やして激しく火と煙を発しながら、馬に引かせる車のこと。

モウモウとした煙で視界を奪い、敵が停止するその隙に、無数の矢を撃ち込ませる。

 

天下の豪勇・廉頗に正面からぶつかっては、誰人たりともかなわない。

そこで、煙幕を張って動きを止め、大量の矢を浴びせることで、廉頗の「個の武」の無力化を図ったわけです。

達人伝〜準備の武将・王翦

これ、むちゃくちゃ賢い作戦!

このような工夫や知恵をこらす姿勢は、とても大切ですよね。

 

正面から行って突破できないなら、右から、左から回り込む。

あるいは、ロープやハシゴをかけて上から登ってみる。

それでもダメなら、下から潜ってみる。

 

蒼天航路で、合肥侵攻をあきらめて撤退する孫権軍を張遼軍が追撃し、燃え盛る船にブタを大量に乗せて突っ込ませ、大混乱に陥れるシーンがありました。

 

実際、三国志や達人伝の時代に、そのような史実があったのかわかりません。

ただ、牛に火をつけて敵軍に突っ込ませる戦術は古代中国にあったらしいので(火牛の計)、ゴンタ先生は、それを応用したのかもしれません。

 

ゴンタ先生に戦場の指揮を任せたら、奇想天外なヤバい作戦がいろいろ飛び出しそうですね!(笑)

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<炎車を仕掛ける王翦漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より〜>

 

少々ネタバレになりますが、これより後の時代、秦王より楚の侵攻を打診された王翦は、60万の兵力が必要と答えて侵攻軍から外されます。

 

しかし、「20万の兵力で十分」と大見得を切って侵攻した秦将・李信は、敗北。

その後、秦王の要請を受けた王翦は、60万の兵力で侵攻して楚を滅亡させます。

 

王翦は、彼我の戦力を冷静に分析し、具体的にシミュレーションし、周到に準備する武将だったのでしょう。

 

準備は大切。

 

事前にどれだけ入念な準備をするかで、結果は戦う前から決まっているものです。

達人伝〜まとめ

さあ、最終ページを見ると、廉頗の馬が矢をくらっており、窮地に陥るのか?

廉頗、丹の三侠、龐煖、項燕、李牧、盗跖、劉邦たちは、どのような反撃を見せるのか?

 

愛すべき天下の大将軍、趙将・孟梁さんは、馬骨たち以上に活躍する機会があるのか!?(笑)

次回,「第174話・天命を繋ぐ」に乞うご期待です!

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<無数の矢を受ける廉頗〜漫画アクション2021/2/16発売号「達人伝」より〜>

 

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