【ファイアキング(王欣太)レビュー】子供向け!?マジカル・マンガ・オペラ!

先日,東京のゴンタメッカ に行って以来,三国志を描いた傑作漫画「蒼天航路」と,その作者・王欣太(キングゴンタ)先生の作品の魅力を再確認する日々です。

 

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王欣太先生の作品は,だいたい読破してきたつもりですが,「お,これは知らなかった!」と最近見つけたのが「ファイアキング」です。

【目次】

「ファイアキング」(王欣太)とは?

「ファイアキング」は,2007〜2009年に講談社Webコミック「MiChao!(ミチャオ)」で掲載された作品を収録したもの。コミック全3巻。

 

蒼天航路」「ReMember」など,講談社の「モーニング」誌上に掲載された作品は連載中から読んでいましたが,Web掲載の作品は知りませんでした。

私も最近は電子書籍を多く読むようになってきましたが,Web漫画はなじみがないなあ。

今どきの若い世代は,漫画も当たり前に電子版で読むのかな(^_^;)

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「ファイアキング」王欣太あらすじ

なぜか地獄に迷い込んだ赤ちゃんは,エンマ大王に「梵太(ボンタ)」と名付けられ,おへそに不思議な力を与えられて,人間界に戻される。

ボンタは,60年前,同じように地獄界に迷いこみ,エンマ大王をだまして人間界に戻った羅生門往来人(ラショウモンオールライト)の元で「林凡太(ハヤシボンタ)」と名付けられ,すくすく育つ。

 

ある日,10歳のボンタは,友人のミカ,ユウと猿磨堂(エンマドウ)というあやしい店に入る。

そこで門番ヌーノや奇可猿(キカザル)と出会い,猿人界(エンジンカイ)へ向かう途中で魅猿(ミザル),違和猿(イワザル),そして猿人を襲ってくる鳥人(チョウジン)たちと遭遇する。

 

猿人界が滅べば,人間界も滅ぶ。

大人も子どもも関係なく,皆滅ぶ。

 

ボンタは,猿人界のモウエン大王と約束する。

「ファイアキング」を探し,人間界の戦士とともに猿人界に戻ってきて,この世界を救うことを。

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「ファイアキング」王欣太魅力その1

すべての漢字にふりがなが振ってあって読みやすく,すいすい読み進めることができます。

9歳の娘は,本棚から「あ,新しい漫画発見!」と目ざとく見つけ(笑),全3巻をあっという間に読み終えました。

 

王欣太先生の作品には珍しく(笑),大人向けのキケンなシーンはないので,子どもにも安心して読ませることができます。

セリフも平易でわかりやすく,セリフなしでも成立するほど魅力,迫力あふれる絵力にグイグイ引き込まれます。

「ファイアキング」王欣太魅力その2

そして,なんといっても,謎が謎を呼ぶ不思議な世界観。

物語の主なキーワードを列挙してみると……

東方国,西方国,閻魔大王,炎のエンマ,六道,鳥居,ツメ入り,最終族長ゼロイー,さるだんご,三流占い師マキシ,獣人,獣神ゴルウとガニバル,獣姫,火の柱,獣神の母ユマテラス,歌神グノス,獣人王……

 

これらの言葉から想起される世界観にワクワクしませんか?

「なになに?」「どういうこと?」「この後どうなる?」と,物語は停滞することなく,ボヤボヤしていると置き去りにされるほどスピーディーに,想像力の先へ先へと進んでいきます。

 

小林秀雄の名言「モーツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない」に倣うなら,「ゴンタワールドは疾走する。頭は追いつけない。心で感じろ!」といった雰囲気です(笑)

 

ふと,思い出したのが,「新世紀エヴァンゲリオン」。

もちろん,「ファイアキング」とはぜんぜん世界観が異なりますが, 共通すると感じたのは,神秘的で謎めいたプロットを示し,余白を重んじ,説明をしない。

謎の余白を埋める作業は読者の想像力に任せることで,物語に途方もないスケール感と奥行きを与えてくれます。

まさに,「マジカル・マンガ・オペラ」!

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「ファイアキング」王欣太まとめ

惜しむらくは,物語が途中で終わっていること。

あえて未完にしたのか,なんらかの事情で打ち切ったのかわかりませんが,いよいよこれから!というところで終了しているのは少々残念。

 

とはいえ,コチコチに凝り固まった頭をもみほぐし,童心にかえって不思議ワールドで存分に想像力を遊ばせたい人には,オススメの一冊です。 

とにかくゴンタ先生の絵には「力」があり,美しいんですよね〜

 

イデアに行き詰まって悩んでいる人は,クリエイティブな発想のヒントが得られるかも!?

 

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