映画「アリー〜スター誕生〜」レビュー〜レディー・ガガの歌唱力に鳥肌感涙〜

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アカデミー賞受賞最有力との評判の高い映画「アリー〜スター誕生〜」を観てきました。

主演のレディ・ガガの歌唱力,演技力が,鳥肌が飛び立つ勢いで素晴らしくて(笑),当然のように泣きましたが,何というかもうひとつ物足りなさを感じました。

 

昨年観た「ボヘミアンラプソディ」は,激しく魂を揺さぶられる感動を覚えましたが,「アリー」はちょっと違う。

「アリー」はアメリカでは大ヒットし,評論家からも絶賛されているのに,日本での興行はイマイチとの話も聞きます。なぜなのでしょうか?

 

【目次】

【リアリティ】

ボヘミアン」は,多少の脚色はあるかもしれませんが,基本的にノンフィクション。

「アリー」は,ベースとなる史実はありつつも,少なくてもガガ自身の実体験ではないようです。

 

また,「才能はあるが夢をあきらめていた素人が,憧れのスターに見出されて一躍スターになる」と絵に描いたようなシンデレラストーリーは,現代日本人の共感を得にくいような気がします。

 

アメリカでは,今なおアメリカンドリーム信仰が根強いのかもしれません。

しかし,今の日本では,AKBグループはじめお茶の間アイドルがあふれており,スター(と呼んでいいのかわかりませんが)になるためのステップは現実的なものとして見えています。

 

現代日本では,「アリー」のストーリーは少々非現実的でリアリティに欠ける印象がするのです。

【ラストの描き方】

ただ,無名の新人がスターダムへ駆け上がったストーリーは,「ボヘミアン」のクイーンも同じ。

大きな違いは,「ラストの描き方」かもしれません。

 

ボヘミアン」のラストは,ライブエイドという20世紀最大のチャリティコンサート。

主人公のフレディは,エイズによる死を避けられないことを仲間に告げた上で,伝説となる最高のパフォーマンスを発揮します。

最大の悲しみと喜びを同時に描き,生命を燃焼しきった形で幕を閉じます。

 

一方,「アリー」のラストは,ネタバレになるので具体的には書きませんが,最高の喜びの後に最大の悲しみが訪れ,そのままフェードアウトして終わります。

 

ボヘミアン」 も「アリー」も,終盤に喜びと悲しみの極点が訪れる点では同じですが,ラストの描き方の微妙な差異が印象を大きく異なるものにしています。

【音楽の耳なじみ感】

日本人なら,どこかで一度はクイーンの曲を聞いたことがあるのではないでしょうか?

ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」「ボーン・トゥー・ラブ・ユー」など,一度聞いたら印象的なメロディが強烈に耳に残ります。

 

人間はどんな曲を良いと感じるかというと,聞いたことがある曲を良いと感じるそうです。

これは脳の構造的な問題で,いろんな場面で繰り返し聞かせることである意味で洗脳され,「あ,聞いたことがある」「いい曲だ」と感じてしまうそうです。

 

たしかに,歩きながら路上ライブを聞いていると,聞いたことのないミュージシャンのオリジナル曲はスーッと聞き流すけど,聞いたことのあるカバー曲だと「おっ!」と立ち止まります。

 

その意味で,「ボヘミアン」は40年間くらいかけて日本人の耳になじんできた大きなアドバンテージがあり,「アリー」の「シャロウ」は名曲ですが耳なじみ感で負けてしまったのかな,と思います。 

【まとめ】

「アリー」の残念な点ばかり書いてしまいましたが,いい映画ですよ!←とってつけたみたい(笑)

特筆すべきはガガの歌唱力。これはもう,脱帽するしかありません。

 

「人間の声は楽器」といいますが,あのように高く低く,細く太く響く美しい音色は,どんな素晴らしい楽器も出せません。

さらにいうと,骨格や声帯の違いか,おそらく日本人にはあのような声は出せないのではないでしょうか?

 

小室哲哉さんが歌手を発掘する際は,歌の上手い下手はどうでもよくて,生まれ持った「声の質」のみに注目するそうです。

華原朋美さんも,どこかで歌っているのをたまたま聴いた小室さんが「この声質は!」と慌ててスカウトしに行ったそうです。

 

正直,「アリー」の総合的な満足度はまあ80点くらい。

しかし,ガガの超絶歌唱力を大画面,大音量で堪能できたという1点で90点!

 

ガガの2時間半に及ぶ感動ライブを,2,000円足らずで鑑賞できると考えれば安いものです(^^)

 

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