辻仁成「人生の十か条」ブックレビュー〜衝撃!フランス人はケンカしたら二度と仲直りしない!〜

 

辻仁成さんの「人生の十か条」を読みました。

 

筆者の辻さんは1959年生まれ。

すばる文学賞芥川賞を受賞し,女優の中山美穂さんと結婚。

1児が生まれた後に離婚して,現在は子どもを育てながらフランスで暮らしています。

 

心が軽やかになり,励まされる,読みやすい本だな。

と,さらさら読み進んでいたのですが,衝撃の一文に突き当たりました。

 

「フランス人は一度許さないと思ったら,そこで終わります」

「一度こじれると仲直りというのは皆無なのです。縁が切れることになり,復縁はほぼありません」

 

いったい,どういうことでしょうか?

【人生の十か条:あわないものを無理にあわせないフランス人】

日本人であれば,一時の感情が高ぶってケンカしたり絶交しても,その後なんとか仲直りしようと努力します。

「和をもって貴しとなす」が日本の文化です。

 

ところが,フランス人はそうしない。

意見が合わず,議論をしても平行線をたどり,衝突してケンカした人とは二度と仲直りしない。

 

あわないものを無理やりあわせようとすると,自分が破綻するか,衝突が生じる。

つまり,ストレスが生じる。

そんなストレスは人生に無用と考えて,フランス人はケンカした人と絶対に仲直りしないそうです。

 

私はそこまで徹底できませんが,感覚的には理解できます。

【人生の十か条:ケンカするほど仲が良い?】

日本では,「ケンカするほど仲が良い」と言いますが,本当でしょうか?

あなたは実際にそうなった経験がありますか?

私は,ケンカすることで前より仲が良くなったことは,ほとんど思い出せません。

 

ここで少し考えたいのは,「ケンカ」と「議論」の違いです。

私は,「議論」は大いにありですが,「ケンカ」はできる限り避けたい。

 

私が思うに,議論とはお互いの人格を尊重することを前提として,アサーティブに意見を交わすもの。

どんなに激しくぶつかりあい,わかりあえなかったとしても,まあたいした問題ではない。

 

議論とは,お互いの根本的な価値観に関わる重要なテーマについて,何が何でも相手に認めさせる性質のものではありません。

 

しかし,ケンカとは,お互いの譲れない大切なもの,自分の全存在を賭けて自分の意見を相手に認めさせ,勝ち負けをハッキリさせようとする行為。

 

したがって,相手の人格を信頼・尊重するアサーティブなケンカなどあるわけなく(笑),いわば全力で殴り合う「戦争」です。

 

感情むき出しで,全力で相手を否定するケンカをしておいて,後日コロリと態度を変えて「仲良くやろうぜ!」なんて,意味がわかりません。

昔のガキ大将のケンカじゃあるまいし(笑),人間として節操がなく,信頼が置けません。

 

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【人生の十か条:愛情の反対は無関心】

「愛情の反対は憎悪でなく無関心」といいます。

根本的に相手とあわない!とわかったら,無理にあわせようとして憎むのではなく,スッと離れればいいのです。

 

一方で,離れたくても離れられないから,ストレスを抱えている場合も多いでしょう。

しかし,その相手,本当に離れられないでしょうか?

 

たとえば,職場の上司・同僚,ご近所さん,パートナーとあわない場合。

今すぐ離れることは難しいかもしれないけど,異動,退職,転職,引越し,絶交,別居,離婚など,中長期的に離れる方法はいろいろ考えられます。

 

無理にあわせることで莫大なストレスを抱え続け,心身を痛めつけるくらいなら,パッと離れた方がよいと思います。 

【人生の十か条:フランスではいじめがない】

本書では、「フランス人はストレスを抱えないプロフェッショナル」「フランスではいじめがない」ことが紹介されています。

 

多様性に寛容なお国柄もあるのでしょうが,大人を見習って,子どもも無理に他人にあわせて余分なストレスを抱えないため,ストレス発散のためのいじめが存在しないのではないでしょうか。

【人生の十か条:まとめ】

フランス最高!と手放しで絶賛するわけではありませんが,ケンカしたら二度と仲直りせず余計なストレスを回避するフランス人の考え方は,私たち日本人にとって衝撃ではないでしょうか。

 

著者の辻さんは,合理的でドライな考え方のフランス人にはなりきれないとしつつも,フランス的エッセンスをふんだんに取り込んだ人生の処方箋を紹介しています。

 

日々のストレスに悩んでいるあなた。

目からウロコが落ち,心が軽くなるヒントが見つかるかもしれませんよ(^^)

 

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