無礼千万,無理難題を承知でひとことでまとめるなら,
「安田佳生という不器用な人間が,自身の人生観に忠実に生きた結果,ワイキューブという会社をつぶしてしまった話」
失礼ながら,著者の安田佳生さんもワイキューブという会社も知りませんでした。
あれ,そもそも,なんでこの本買ったんだっけ?
それはさておき,読み始めてから読み終わるまで一貫している,この諦めというか寂しさというか,無常感のような感覚はなんなのでしょう?
世の中の経営者は,ユニクロの柳井正さんやソフトバンクの孫正義さんのような冷静沈黙,理路整然のスーパー経営者ばかりと思っていました。
が,本書から受ける安田さんの印象は異なります。
あとがきで,安田さんは自身のことをこう語っています。
経済的な問題もあるが,それ以上に私は自分の人生観を変えることができない。自分の人生の意味や目的を置き去りにして,生きていくことができない。とても面倒くさく,不自由な人間なのだ。
会社は何のために存在するのか。その答えをみつけるために二十年も費やしてしまった。そして答えはみつからなかった。
だが納得はしている。答えをみつけることが大事なのではなく,みつけようとすることが大事なのだ。
それをやめてしまったら,私は私でなくなってしまう。
不器用。
そう,めちゃくちゃ不器用な人なのだと思います。
また,こうも語っています。
怒られるのを承知で言ってしまうが,私はこの二十年間を本当に楽しんだ。
後悔も未練もまったくない。もう一度同じことをやってみろと言われたら,喜んでやってしまうだろう。
これ,安田さんに人生を振り回されたと思っている人たちが聞いたら,「おまえ,なにふざけたこと言っとるんじゃ〜!」と思うんでしょうね(笑)
生きているのと呼吸しているのとは違う。
生きているのと死んでいないのとは違う。
生きていることと,死んでいないこと。
安田さんは,自分が納得いく人生を「主体的に」送ってきた。
「振り回された」と思っている人は 「受動的に」送ってきた。
安田さんはきっと,直接お会いするとついて行きたくなる,一緒に働きたくなる素晴らしい魅力をお持ちの方なのではないでしょうか?
友人として付き合うのはいいけど,部下として働くのはちょっとしんどいかな〜(笑)
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