【頑張らないよう頑張る!】頑張る!頑張れ!と軽々しく言わない方がよいと思う件

私は「頑張る」という言葉が苦手です。

自分で「頑張ろう!」と言わないよう,他者にも軽々しく「頑張れ!」と言わないよう気をつけています。

 

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【目次】

【語源】

「頑張る」の語源は,「眼張る」「我張る」2つあるそうです。

眼張る」は,意識を集中して見張るといった意味。

「我張る」は,自我を張るといった意味。

 

江戸時代の文献で見られ始め,今では別れ際に「じゃあ,頑張ってね〜」と挨拶言葉になっている印象もあります。

【英訳】

英語だと,「Good Luck!」「Take it easy!」「Do your best!」などと訳されるようです。

 

Good Luck!」「Take it easy!」は,いかにもかるいニュアンスがあり,「Do your best!」がもっとも日本語の雰囲気に近いでしょうか。

Do your best!」は,目上の者が目下に対して使う言葉らしいので,その意味でも近い印象があります。

【頑張れ!と言われたら】

「頑張れ!」と言われると,「まだまだ,頑張りが足りない!」「もっと全力を尽くすべきだ!」という印象を受けます。

 

しかし,たとえば仕事や病気で心身が限界を迎えている人や,震災で悲しみに打ちひしがれている被災者に対して「頑張れ!」とは,あまりに無慈悲で残酷な言葉です。

 

「これ以上どう頑張れと?」「私のつらさの何がわかる?」「簡単に言うな!」と無力感,怒りすら感じるのではないでしょうか?

 

実際,私も激しく落ち込んでいる時に,「まあ,人生いろいろだから,前向きに頑張ってね!」とかるく励まされて,「なんにもわかっていない!」「ふざけるな!」と激しい怒りをおぼえたことがあります(苦笑)

【黙って同苦した釈迦】

わが子を亡くした母親の悲しみを聞いた釈迦(ブッダ)は,激励や説教を行わず,母親とともに道ばたにしゃがみこみ,ただただ悲しんだそうです。

「他者の苦しみ」を「わが苦しみ」として感じる(同苦する)大切さを物語るエピソードです。

【頑張れ!の本質】

極論すると,「頑張れ!」の本質は「他人事」「無責任」。

相手の苦しみを,「自分事」と受け止めていない。

相手の苦しみを,「かるくしてあげよう」という「責任感」がない。

 

すなわち,「頑張れ!」とは,すごく残酷で無慈悲な言い方をすると,「(私にとっては他人事で責任がないから私は何もしないけど,あなたは)頑張れ!」という意味。

行動する(=頑張る)主体は「相手」で,自分は何をするつもりもありません。

 

反対に,相手の苦しみを「自分事」として「責任」を感じるならば,どうでしょう?

「(私は)応援する!」「(ともに)頑張ろう!」など,行動する主体は「私」「私たち」となるはずです。

【頑張れ!の背景の想い】

もちろん,例外はあります。

心の底から苦しみを共感し,同苦し,すべてわかってくれたうえで,あえて厳しく「頑張れ!」と言い切るような人はいます。

 

でも,それってごくごく,きわめて,まれもまれ。

そのような相手は,「自分事」「責任感」を感じていることが伝わってくるので,「頑張れ!」と言われてもぜんぜん反感をおぼえません。

 

たとえば,東北みやぎ復興マラソンに参加した際。

被災者の皆さんの「頑張れ!」という声援ほど私の背中を力強く押すものはなく,涙があふれて止まりませんでした。

 

要は,「頑張れ!」という言葉の背景に,どれだけの「想い」が詰まっているのか?

相手の苦しみに対する深い共感=「想い」がないのに,軽々しく「頑張れ!」など使うべきではない,と思うのです。

【自分が頑張る!も厳禁】

他者に対してはもちろん,自分が「頑張ろう!」と決意するのも危険です。

英語の勉強,資格試験の取得,読書習慣,ダイエットなどなど,「頑張ろう!」と正月に決意して,いつのまにやら頓挫した経験は,誰しもあるのではないでしょうか?

 

そもそも人間は,ムダな消費エネルギーを抑えて生存確率を高めようとする,良くいえば「省エネ本能」,悪くいえば「なまけ者本能」が強力な生き物です。

くわえて,「ホメオスタシス(恒常性)」も機能しており,基本的に「変化」を嫌い「安定」を求めます。

 

しかも,人間の「意志の力」は,びっくりするくらい有限で希少な資源で,起きているだけで,みるみる消耗していきます。

それなのに私たちは,「頑張れば,意志の力で何とかできる!」と,こっけいなくらい「過信」しているのです。

【頑張らないよう頑張る】

今まで決意して挫折したのは,「意志の力が足りなかったから=頑張りが足りなかったから」ではありません。

「省エネ本能」「なまけ者本能」「ホメオスタシス」が,日々の生活で生命を健全に長らえるよう,最適な選択をした結果です。

 

では,どうすればいいのか?

「頑張ろう!」など意志の力を使わず,「無理なくできてしまう工夫や仕組みづくり」こそ,知恵を絞って頑張るべきです。

 

たとえば,2017年の私の読書量は40冊程度。

しかし,2018年は通勤時間にオーディオブックを聴く方法を取り入れることで,無理なく100冊達成しました。

これが「毎日早起きして1時間読書しよう!」など,意志の力に頼る「頑張る」方法だったら,きっと挫折していたことでしょう。

【まとめ】

よく言われることですが,日本人は「頑張りすぎの民族」と思います。

 

長時間労働による心身の病気や過労死など,頑張りすぎの弊害を指摘されながら変わらない理由は,安易に「頑張る!」「頑張れ!」と口にする文化・習慣にあるのではないでしょうか?

 

頑張らないよう,頑張っていきたいと思います!!

 

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