映画「ザ・サークル」感想〜あなたは24時間をSNSに公開できますか?〜

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映画「ザ・サークル」を観ました。

新年早々,星4つのおもしろさ!

この映画は,ネット社会に生きる私たちが,その向き合い方を考える格好の教材です。

【目次】

【映画「ザ・サークル」①あらすじ(ネタバレなし)】

主人公のメイは,コールセンター業務でうんざりする毎日を送っていたが,友人の誘いにより,世界最大のネット会社へ転職。

あらゆる場所に超小型カメラを設置することにより,世界はひとつに繋がり,すべての意思決定がオープンにされ,より良い世界を構築できるという会社の考えに感化されていく。

 

ついにメイは,超小型カメラを身につけて,自分の行動を24時間,世界中の人々に見てもらうことに。

しかし,その先には悲劇が待っていた……

【映画「ザ・サークル」②情報の透明化は世界をより良くするのか?】

現代は,全員で情報を共有し,オープンに話し合って決める民主主義が望ましいとされます。

一方で,独裁国家はじめ民主主義国家でも,一部の有力者が秘密裏に決定している現状があります。

 

これらすべてをオープンにして透明化すれば,より良い意思決定がもたらされるのでしょうか?

 

正直,私にはわかりません。

たしかに,「見られている」ことにより,人々の意思決定や行動がより質の高いものに変容する可能性は高いでしょう。

「見られている」ことにより,高度な「アカウンタビリティ」=「説明責任」が常に問われ,「説明」できない意思決定や行動は,もはや不可能です。

 

しかし,すべての意思決定や行動を合理的に説明できるものでしょうか?

周囲への影響がない個人で完結する行為ならともかく,周りへの影響力が大きくなるほど,「なんとなく」「直感で」といった説明は許されなくなります。

 

単なる「説明」ではなく,可能な限り多くの人に「納得」してもらうことが求められます。

一国の首相,政治家,社長が,あるゆる意思決定を合理的に説明し,人々に納得してもらうことは可能でしょうか?

 

私は,それが理想ではあり,多くがそうあるべきですが,全部は難しいのではないかと思います。

映画「ザ・サークル」③個人のプライバシーはどこまで尊重されるべきか?】

映画では,本人は「ほっといてくれ!」と言っているのに,興味本位で周囲が執拗に追い回すシーンが出てきます。

「公人は,人々の知る権利に応える義務がある」と,政治家や有名人がマスコミに追い回され,個人のプライバシーを暴露されるのは,本当に気の毒なことです。

 

マスコミは,「売れるから,人々が望むから,有名人のプライバシーを暴露する」と主張しますが,本当にそうなのでしょうか。

 

そうであれば,私たちは興味本位のゲスいメディアは買うべきでないと思います。

少なくとも,私は買いません。

本人が望む限り,たとえ公人であろうと,個人のプライバシーは最大限尊重されるべきと思います。

【映画「ザ・サークル」④まとめ】

情報の透明化,説明責任,人々の納得,公人のプライバシーの範囲などなど,この映画は本当に多くを考えさせられる良質の「教科書」です。

友だちや家族と一緒に観て,感想を話し合うと効果倍増でしょう。

ほんの3秒ほど,子どもに見せたくないシーンがあるのが残念です(笑)

【映画「ザ・サークル」⑤おまけ】

けっこう重たいテーマでありながら,GAFAのリーダーのように,より良い世界を信じて熱く語る社長役をトム・ハンクスが好演。

また,主演のエマ・ワトソンナチュラルでピュアな美しさにふっと救われる,後味爽やかな作品です。

 

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