みうらじゅん「ない仕事の作り方」ブックレビュー

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みうらじゅんさん「ない仕事の作り方」を読みました。

みうらさんといえば,「ロン毛のマニアックなあやしい人」くらいのイメージでしたが(笑),「この人,天才かも!?」と思いました。

 

【目次】

 

【著者プロフィール】

1958年,京都市生まれ。

武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。以来,漫画家,イラストレーター,エッセイスト,ミュージシャンなどとして幅広く活躍。

 

そして1997年,造語「マイブーム」が新語・流行語大賞を受賞。

そうなんです,みうらさんは「マイブーム」の名付け親で,さらに「ゆるキャラ」もみうらさんが名づけたのです!

 

【本の目次】

第1章 ゼロから始まる仕事〜ゆるキャラ

第2章 「ない仕事」の仕事術

 1 発見と「自分洗脳」

 2 ネーミングの重要性

 3 広めることと伝わること

第3章 仕事を作るセンスの育み方

 1 少年時代の「素養」が形になるまで

 2 たどり着いた仕事の流儀 

第4章 子供の趣味と大人の仕事〜仏像

あとがき 本当の「ない仕事」〜エロスクラップ

スペシャル対談 糸井重里×みうらじゅん

 「I don't believe me. みうらじゅん糸井重里は,もともとなかった仕事をやっていた」

 

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 【印象に残ったポイント】

 印象に残ったポイントは,以下のとおり。

  • 地方の妙な着ぐるみ,マスコットへの哀愁とトゥーマッチ感から,「ゆるキャラ」は生まれた
  • 「ない仕事」を作るには,なかったものに名前をつけた後,「自分を洗脳」して「無駄な努力」をしなければならない
  • 好きだから買うのではなく,買って圧倒的な量が集まってきたから好きになる

 

  • 収集しただけではただのコレクター。書籍やイベントに昇華させて初めて「仕事」になる
  • 前例のない「ない仕事」をするには「一人電通」,すなわち企画立案,資料収集,ネタ考案,広報,接待まで,自分ひとりでやる
  • 「一人電通」といえども,アイデアを実現して支えてくれる理解者が必要

 

  • 観客が喜んでくれるか心配なときは「そこがいいんじゃない!」と呪文を唱えて全肯定。「普通」な自分を否定することでおもしろくなり,自信が湧く
  • 「ない仕事」に共通しているのは,最初は怪訝に思われたり,当事者に嫌がられたり,怒られたりすることもある
  • 自分で新たな土俵=ジャンルを生み出せば,自分以外の誰も博士になれない

 

  • マイナスのものを名前をつけて面白がってみると,自分の気持ちすら変わってプラスになる
  • 無駄な作業が,逆に知識を豊かにしてくれる
  • ひとつのものに夢中になると,自然とそこから発生するものも頭のどこかにストックされていき,それが新しい仕事につながっていく

 

  • 「ない仕事」を成立させるためには,好きな才能と広める才能,収集癖と発表癖,どちらも必要。
  • 自分でうまくいかないときは,誰か得意な人とチームを組んでしまう。異能戦士が横並びで集まる。それが成功の秘訣
  • 「自分探し」をしても,何にもならない。「自分なくし」をするほうが大切で,自分をなくして初めて何かが見つかる

 

  • 不自然なことをやり続けるためには「飽きないふりをする」ことも大切
  • 不安でなかった日など一日もない。あまりにも不安なときは「不安タスティック!」と明るく叫んで自分を洗脳する
  • ぐっときた段階では発表せず,ワインのように寝かせておく。奥が深い世界であればあるほど,軽く口にしてはいけない

 

  • 他人と同じことをしていては駄目。つまらない。人がやっていないことを見つけて達成するほうが楽しい
  • 「ある」の中で仕事をしていたら,競争になるだけ
  • 自分のことがわからないことを知っている。自分というものに信用がない

 

  • 「こういうときに自分はどうするんだろう?」といつも問い掛けていないと,自分でいられない
  • ないものを探してもない。だから,全然ないところからものを発想する
  • 「経営とは何か?仕事とは何か?」に対して,ドラッカーは「顧客の創造」と答えた。それはマーケットを作ることであり,「ない仕事を作る」ことと同じ

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【まとめ】

みうらさんのやってきたことは,経営の神様ドラッカーが言っていることと本質的に同じだったという衝撃!

 

カタイ話を抜きにしても,みうらさんが名付けた数々のおもしろいネーミングが満載です。

たとえば,

  • 地獄表 →1日に数本しか来ない地獄のようなバスの時刻表
  • ぴあ現象 →辞書で「インフレーション」を調べたのに,隣にある「陰茎」「淫乱」などを読みふけってしまい,無関係の知識が豊かになる現象
  • グッド・クリフ →グッとくる崖
  • いやげ物 →「こんなもの誰が買うんだろう」「もらったら絶対にいやだな」と感じる土産物
  • とんまつり →巨大な男根を模した御神体を担ぎ,恥ずかしげもなく公道を練り歩くような,どうかしているようなとんまなまつり
  • オナラプープー族 →暴走族の呼び名をこう変えたら,カッコ悪くて誰も入らないのではないか

 

などなど,じつに味わい深い一冊です(^^)

 

「ない仕事」の作り方 (文春文庫)

「ない仕事」の作り方 (文春文庫)

 

 

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